「市販の教科書だと、この生徒の目的に合わない」「自分で教材を作ってみたいけれど、何から手をつければいいか分からない」。マンツーマンで教えるオンライン日本語教師なら、一度はこう感じたことがあると思います。
時間がなくて教材を使い回してしまう悩みについては、生徒に合わせた教材、結局同じプリントを使い回していませんか?で書きました。この記事では、実際に自作教材を作るときの手順を、7つのステップに分けて具体的に紹介します。
自作教材が向いているのはどんなとき?
まず、すべてを自作する必要はありません。日本語教師が自作教材を作る価値が高いのは、次のような場面です。
- 生徒の目的がはっきりしている:仕事で使う、旅行で使う、趣味の話をしたいなど、使う場面が具体的に決まっている
- 市販教材の場面やレベルが合わない:教科書の会話が生徒の生活とかけ離れている
- 同じ文法を、生徒の生活に合わせた例文で練習したい:文法は教科書どおりでも、例文だけは生徒向けにしたい
一方で、文法を体系的に積み上げたい生徒には、市販教材を軸にして、自作教材を補助として組み合わせる方法もおすすめです。
自作教材を作る7ステップ
ステップ1:生徒の目的と「使う場面」を確認する
教材づくりは、生徒への質問から始まります。「なぜ日本語を勉強しているのか」だけでなく、「どこで、誰と、どんなときに日本語を使うのか」まで聞いておくと、教材の場面がはっきりします。
- 仕事で使う → 誰と話す?(お客様・同僚・上司)どんな場面?(電話・会議・メール)
- 旅行で使う → どこへ行く?何をしたい?(買い物・レストラン・道を聞く)
- 趣味で使う → 何について話したい?(アニメ・料理・スポーツ)
ステップ2:教材のゴールを1文で決める
次に、「この教材を使い終わったら、生徒は何ができるようになるか」を1文で決めます。「〜ができる」の形で書くのがコツです。
- 「レストランで料理を注文して、おすすめを聞くことができる」
- 「電話で、担当者が不在であることを伝えて、伝言を受けることができる」
- 「週末にしたことを、過去形を使って3文で話すことができる」
ゴールが1文で言えない場合は、内容を詰め込みすぎているサインです。2つの教材に分けましょう。
ステップ3:場面と登場人物を決める
ゴールが決まったら、教材の舞台を決めます。「どこで」「誰と誰が」「何をしている」場面なのかを具体的にすると、会話例が作りやすくなります。生徒自身が登場人物になる設定にすると、そのままロールプレイに使えます。
ステップ4:扱う表現と語彙を選ぶ
場面で必要な表現と語彙を書き出し、そこから絞り込みます。1回のレッスンで扱う量は、5〜8個程度を目安にすると消化しやすくなります。
- そのまま使える「かたまり」の表現を優先する(例:「〜をお願いします」「少々お待ちください」)
- 生徒がすでに知っている語彙と組み合わせる
- 新しい文法は、1つの教材につき1つまでにする
ステップ5:構成を組み立てる
構成は毎回ゼロから考えず、型を決めておくと作るのが早くなります。たとえば、次のような構成です。
1. 今日のゴール(〜ができる)
2. キーフレーズ(5〜8個・読み方と訳つき)
3. 会話例(場面に沿った短い会話)
4. 練習問題(穴埋め・並べ替え・言い換えなど)
5. ロールプレイ(講師と生徒で役を交代)
6. ふりかえり(今日言えるようになったこと)
「インプット(フレーズ・会話例)→ 練習 → アウトプット(ロールプレイ)」の順番にしておくと、レッスンの流れもそのまま作れます。
ステップ6:レベルに合わせて表記と分量を調整する
同じ内容でも、生徒のレベルによって「読める教材」かどうかは大きく変わります。表記と分量の目安は、次のとおりです。
| レベル | 表記 | 文の長さ・分量 | 翻訳 |
|---|---|---|---|
| 入門 | ひらがな中心(必要に応じてローマ字) | 短い文、フレーズ単位 | すべての文に添える |
| 初級 | ひらがな中心、基本的な漢字に読み方 | 1文を短く、会話は4〜6往復 | 必要な部分に添える |
| 中級 | 漢字を含む(難しい漢字に読み方) | 会話を長めに、説明文も少し | 新しい語彙だけ |
| 上級 | 漢字を含む通常の表記 | 実際の場面に近い長さ | 基本は不要 |
筆者自身も、教材を手作りしていたころは、初心者にはひらがな中心、上級者には漢字を含めて、生徒ごとに作り分けていました。翻訳は日本語の代わりにするのではなく、あくまで日本語の下に添える形にすると、日本語を読む練習を邪魔しません。
ステップ7:形式を整えて、使ったら直す
教材の形式は、Googleドキュメント、スライド、PDFなど、使いやすいもので構いません。オンラインのレッスンでは、画面共有しやすく、生徒があとから見返せる形にしておくと便利です。筆者は以前、生徒ごとにHTMLで教材を作り、PDFにして渡していました。
そして、教材は作って終わりではありません。レッスンで使ってみて、生徒がつまずいた問題や、時間が足りなかった部分をメモしておき、次に使うときに直します。この「使って直す」をくり返すことで、教材はどんどん使いやすくなります。
自作教材でよくある失敗
- 詰め込みすぎる:表現も文法も練習問題も多すぎて、1回のレッスンで終わらない
- 例文が生徒の生活とずれている:せっかく自作したのに、例文が教科書と変わらない
- 説明が多く、練習が少ない:解説を読むだけで時間が終わってしまう
- 毎回ゼロから作る:構成の型がないため、作るたびに時間がかかる
作る時間を減らすための工夫
自作教材のいちばんの課題は、作るのに時間がかかることです。次のような工夫で、負担を減らせます。
- 構成の型を固定する:ステップ5のような型をテンプレートとして保存しておく
- 表現のストックを作る:場面ごとによく使う表現をリストにしておき、教材づくりのたびに使い回す
- AIに下書きを手伝ってもらう:会話例や練習問題の下書きをAIに作ってもらい、講師が確認して仕上げる
AIに下書きを頼むときの具体的なお願いの仕方は、日本語教師のChatGPT活用プロンプト集|AI教材作成にそのまま使える12の例でまとめています。
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- 次のテーマの提案:過去のレッスン記録をもとに、次に扱うとよさそうなテーマをAIが提案します
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まとめ
自作教材づくりは、「目的と場面の確認 → ゴールを1文で決める → 場面と登場人物 → 表現の選定 → 構成 → レベル調整 → 使って直す」の7ステップで進めると、迷わずに作れるようになります。毎回ゼロから作る負担を減らしたい日本語教師の方は、TutorHubの無料プラン(生徒3名まで、カード登録不要)で、オーダーメイド教材を一度試してみてください。
