体験レッスン(トライアルレッスン)の予約が入ると、うれしい反面、「何から話せばいいんだろう」「25分って意外と短い」と迷うオンライン日本語教師は多いと思います。自己紹介をして、少し会話をして、気づけば時間切れ。生徒も「楽しかった」と言ってくれたのに、その後の予約にはつながらなかった——そんな経験はないでしょうか。
生徒が継続するかどうかを左右する考え方については、トライアルレッスンのあと、生徒が継続してくれないのはなぜ?で整理しました。この記事ではその実践編として、体験レッスンの具体的な流れと時間配分を、25分と50分の2つのパターンで紹介します。
体験レッスンのゴールは「教えきること」ではない
最初に押さえておきたいのは、体験レッスンのゴールです。体験レッスンは、文法をたくさん教える場ではありません。生徒に持ち帰ってほしいのは、次の3つです。
- この先生は、自分の目的とレベルを分かってくれた
- 実際に教わってみて、分かりやすかった(小さな「できた」があった)
- 続けたら、次に何をするのかイメージできた
この3つを時間内に渡せるように逆算して、流れを組み立てていきます。
なお、Preplyでは執筆時点で、新しい生徒との初回となるトライアルレッスンの手数料が100%に設定されています。つまり、体験レッスンそのものは講師の収入になりません(最新の条件は公式サイトで確認してください)。だからこそ、体験レッスンは「継続につなげるための大事な準備の時間」と割り切って、しっかり設計する価値があります。
予約が入ったら、レッスン前にやっておくこと
- 生徒のメッセージやプロフィールを読む:学習目的やレベルが書かれていれば、それだけでヒアリングの質問を絞れます。
- レベル別のミニレッスン素材を用意しておく:入門・初級・中級以上のどれが来ても対応できるよう、短い素材を2〜3パターン手元に置いておきます。
- チャットに貼るものを決めておく:オンラインでは、口頭だけで説明するより、チャットに文字で残すほうが生徒は安心します。今日のフレーズや例文は、すぐ貼れるように準備しておきましょう。
- ヒアリングの質問リストを作っておく:毎回同じ「型」で質問すると、聞き漏れが減ります。
25分の体験レッスン:時間配分と流れ
25分は短いので、講師が「話しすぎない」ことがいちばん大事です。
| 時間 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 0〜3分 | あいさつ・アイスブレイク | 生徒の名前を呼び、緊張をほぐす |
| 3〜9分 | ヒアリング | 質問は4つに絞る |
| 9〜19分 | ミニレッスン | 目的に直結する表現を1つだけ扱う |
| 19〜23分 | フィードバックと学習プランの提案 | よかった点・課題・次の3回の内容 |
| 23〜25分 | 質問の受付・クロージング | 予約は押しつけず、選択肢を示す |
0〜3分:あいさつ・アイスブレイク
生徒のレベルが分からないうちは、ゆっくりした日本語で話しかけ、必要に応じて英語などの共通言語も使います。
こんにちは。〇〇さんですね。今日はよろしくお願いします。 Hi, nice to meet you. We can use English whenever you need it, so don't worry.
3〜9分:ヒアリング
聞くことは、次の4つに絞ると時間内に収まります。
- 日本語を勉強している理由(旅行・仕事・試験・趣味など)
- これまでの学習歴(独学・学校・アプリなど)
- いちばん伸ばしたい力(話す・聞く・読む・書く)
- いつまでに、どうなりたいか
答えてもらう中で、生徒の日本語のレベルも自然に見えてきます。日本語で答えられそうなら日本語で、難しそうなら英語で、と柔軟に切り替えましょう。
9〜19分:ミニレッスン
ヒアリングで分かった目的に合わせて、表現を「1つだけ」扱います。たとえば、旅行が目的の初級の生徒なら「〜をください」、仕事が目的の中級の生徒なら電話の取り次ぎのフレーズ、といった具合です。
あれもこれもと詰め込むより、「最初は言えなかったことが、10分後には言えるようになった」という小さな成功体験を作るほうが、生徒の印象に残ります。
19〜23分:フィードバックと学習プランの提案
ここが継続率を左右する、いちばん大事な時間です。次の3点をセットで伝えます。
- よかった点:「発音がとても聞き取りやすいです」「ていねい形がしっかり使えています」
- 課題:「『は』と『が』で迷っているので、そこを整理すると話しやすくなります」
- 次の3回でやること:「1回目は〇〇、2回目は〇〇、3回目はそれを使ってロールプレイをしましょう」
23〜25分:質問の受付・クロージング
最後は質問を受け付けて、押しつけずに次の選択肢を示します。
今日のレッスンはいかがでしたか?質問があれば、なんでもどうぞ。 If you'd like to continue, I'd suggest we start with ○○ next time. Please take your time to decide.
50分の体験レッスン:時間配分と流れ
50分あれば、ヒアリングを丁寧にしたうえで、ミニレッスンを「インプット→練習→アウトプット」まで進められます。
| 時間 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 0〜5分 | あいさつ・アイスブレイク | 簡単な自己紹介を交換する |
| 5〜15分 | ヒアリング | 目的・学習歴・苦手・日本語を使う場面 |
| 15〜20分 | レベルチェック | 短い質問や読み上げで確認する |
| 20〜38分 | ミニレッスン(インプット→練習) | 目的に合う表現を1〜2つ |
| 38〜43分 | アウトプット(ロールプレイなど) | 今日の表現を使って話してもらう |
| 43〜48分 | フィードバックと学習プランの提案 | よかった点・課題・次の3回の内容 |
| 48〜50分 | 質問の受付・クロージング | 次回の提案を具体的に |
レベルチェックの例
50分の場合は、ヒアリングとは別に短いレベルチェックを入れると、学習プランの精度が上がります。
- 入門:ひらがなが読めるか、あいさつや自己紹介ができるか
- 初級:「週末は何をしましたか?」に過去形で答えられるか
- 中級:「日本語の勉強で、いちばん難しいことは何ですか?」に理由をつけて答えられるか
- 上級:短い文章を読んで、自分の意見を言えるか
アウトプットの時間を必ず残す
50分でありがちなのが、説明に時間を使いすぎて、生徒が話す時間がなくなってしまうことです。最後の5分だけでも、今日の表現を使って生徒が話す時間があると、「できた」という実感が残ります。
体験レッスンでよくある失敗
- 雑談だけで終わる:楽しくても、「次に何をするのか」が見えないと継続にはつながりにくくなります。
- 講師が話しすぎる:説明が長くなるほど、生徒が話す時間が減ってしまいます。
- 内容を詰め込みすぎる:初回は「1つできた」で十分です。
- 時間配分を決めずに始める:気づいたら学習プランを伝える時間がなかった、というパターンがいちばんもったいないです。
レッスン後のフォローまでが「体験レッスン」
レッスンが終わったら、できるだけ早く、利用しているプラットフォームのメッセージ機能などで今日の振り返りを短く送りましょう。
今日はありがとうございました。 ・今日やったこと:お店での「〜をください」の使い方 ・よかった点:発音がとても聞き取りやすかったです ・次回の提案:レストランでの注文をロールプレイで練習しましょう
生徒は、次の予約をするかどうかを、こうした振り返りを見返しながら考えます。レッスン中に伝えた「よかった点・課題・次の提案」が文章で残っているだけで、検討の材料になります。
TutorHubなら、体験レッスン後の振り返りづくりがラクになる
体験レッスンのたびに、生徒ごとの振り返りを一から書くのは手間がかかります。TutorHubは、こうした講師側の作業を軽くするためのツールです。
- 生徒情報を1画面で管理:ヒアリングで聞いたレベル・出身国・翻訳言語・目標を登録し、気づいたことは講師専用メモに残せます。
- AI学習記録:レッスン中のチャットログやメモを貼り付けると、「今回の要約」「生徒へのフィードバック」「次回に向けて」をAIが作成します。生成後は自由に編集できます。
- フィードバックの翻訳:生徒の翻訳言語を設定しておけば、フィードバックをワンクリックで翻訳できるので、初級の生徒にも内容が伝わりやすくなります。
- 継続後の教材づくり:継続が決まったら、ヒアリングした目的とレベルに合わせて、その生徒専用の教材をAIで作成できます。
作成した記録は、ログイン不要の生徒専用ページで見返してもらうこともできます。生徒への共有は、利用しているプラットフォームの規約の範囲で行ってください。
まとめ
体験レッスンは、「ヒアリング→ミニレッスン→フィードバックと学習プランの提案」という流れを、時間配分まで決めておくだけでぐっと進めやすくなります。25分でも50分でも、生徒に「この先生と続けたら、こうなれる」と感じてもらえるかどうかが、継続の分かれ目です。体験レッスン後の振り返りづくりを仕組みにしたい方は、TutorHubの無料プラン(生徒3名まで、カード登録不要)で試してみてください。
