「今日はフリートークでお願いします」
中級以上の生徒から、よく言われるリクエストです。教科書を使わなくていいので、準備もいらず楽に見えます。
でも、実際にやってみると、こんな悩みが出てきます。
- 話題が続かず、沈黙が気まずい
- 楽しく話せたけれど、生徒が何を学んだのかわからない
- 間違いを直すタイミングがつかめない
- 毎回同じような話になって、生徒が上達を感じにくい
フリートークは「自由に話す時間」ですが、講師の側にはゆるい設計が必要です。この記事では、会話レッスンをただの雑談で終わらせず、生徒が「話せるようになっている」と感じられる時間にする進め方をまとめます。

フリートークが「ただの雑談」になる理由
ゴールがない
フリートークでいちばん起きやすいのは、「話して終わり」になることです。生徒が何のために話す練習をしているのかがはっきりしないと、講師も何を直せばいいのか決められません。
旅行で使いたいのか、仕事の会議で意見を言いたいのか、友だちとくだけた日本語で話したいのか。目的によって、練習すべき表現も、直すべき間違いも変わります。目標の聞き方は 学習目標の立て方 にまとめています。
講師が話しすぎる
会話が止まるのが怖くて、講師が自分の話でつないでしまう。これもよくあるパターンです。生徒にとっては聞き取りの練習にはなりますが、「話す練習」の時間は減ってしまいます。
何も残らない
話した内容も、出てきた新しい単語も、直した間違いも、レッスンが終わると消えてしまいます。次のレッスンでまた同じ間違いが出ても、講師も生徒も気づけません。
話題は「3つだけ」用意しておく
フリートークでも、話題は少しだけ準備しておくと安心です。おすすめは、次の3種類を1つずつ用意しておくことです。
| 種類 | 例 | ねらい |
|---|---|---|
| 近況 | 週末は何をしましたか?/最近、忙しいですか? | ウォームアップ。過去形・て形の確認 |
| 生徒の目標に近い話題 | 旅行で行きたい場所/職場での1日 | 目標の場面で使う表現を練習する |
| 意見を言う話題 | 在宅勤務とオフィス、どっちがいい? | 理由を言う・比べる練習(中級以上) |
3つあれば、話が止まっても次に進めます。逆に、生徒が自分から話したいことを持ってきたら、準備した話題は使わなくてかまいません。**準備は「保険」**と考えると気が楽です。
前回の話の続きを聞くのも効果的です。「先週話していた引っ越し、どうなりましたか?」と聞かれると、生徒は「覚えていてくれた」と感じます。そのためにも、前回の内容はメモしておきましょう。前回どこまで?をなくす方法 も参考にしてください。
50分の流れ
時間配分の一例です。25分レッスンなら、それぞれを半分にします。
- ウォームアップ(5分):近況を聞く。軽い質問で口を慣らす
- メインの話題(30分):生徒にたくさん話してもらう。講師は質問で広げる
- 訂正タイム(10分):メモしておいた間違いを、まとめて一緒に直す
- ふり返り(5分):今日の新しい表現を確認し、次回の話題を決める
ポイントは、訂正をメインの話題の中でやりすぎないことです。話している途中で何度も止められると、生徒は話す気持ちがしぼんでしまいます。
質問で会話を広げるコツ
生徒の答えが短いときは、次のような質問で広げます。
- 「どうしてですか?」(理由を言ってもらう)
- 「たとえば?」(具体例を言ってもらう)
- 「〇〇さんの国では、どうですか?」(比べてもらう)
- 「そのとき、どう思いましたか?」(気持ちを言ってもらう)
「はい/いいえ」で終わる質問より、こうした質問のほうが、生徒が話す時間が長くなります。
話をさえぎらない訂正のしかた

会話中は、間違いをその場で全部直すのではなく、メモに残しておいて、あとでまとめて直すのがおすすめです。メモは次の3列で書くと、あとで見返しやすくなります。
| 生徒が言ったこと | 自然な言い方 | ポイント |
|---|---|---|
| 昨日、映画を見るに行きました | 昨日、映画を見に行きました | 「〜に行く」はます形の語幹+に |
| 日本の食べ物は好きです、でも納豆は… | 日本の食べ物は好きですが、納豆は… | 「でも」を文の途中で使わない |
| ラーメンはおいしいでした | ラーメンはおいしかったです | い形容詞の過去形 |
その場で直してもいいのは、意味が通じない間違いだけです。そのときも、「〇〇ということですか?」と言い直してあげる程度にすると、会話の流れが止まりません。
訂正タイムでは、メモを画面で見せながら、生徒に「どこが違うと思いますか?」と聞いてみてください。自分で気づけた間違いは、次から出にくくなります。
レッスン後に「残す」もの
フリートークこそ、レッスン後のまとめが大事です。最低限、次の3つを生徒に送ります。
- 今日の新しい単語・表現(3〜5個)
- 直した間違い(上の3列メモをそのまま)
- 次回の話題(ふり返りで決めたもの)
単語の送り方は 単語リストの渡し方、フィードバックの文面は フィードバックの例文集 にまとめています。
講師のほうは、同じ間違いが何回出たかを記録しておくと、次のレッスンの話題選びに使えます。たとえば「〜に行く」の間違いが続いているなら、次回は「週末どこに行ったか」を話題にすれば、自然に練習できます。
TutorHubなら、チャットを貼るだけでまとめが作れる
私が作っている TutorHub では、レッスン中のチャット欄のコピーや、気づいたことのメモを貼り付けると、その生徒のこれまでの記録をふまえて、AIがレッスンの要約・フィードバック・次のステップ・単語リストをまとめます。できた文面はその場で直せます。
フリートークのように、レッスン中に出てきた単語や訂正があちこちに散らばりがちなレッスンほど、まとめの手間が減ります。TutorHubは無料プラン(生徒3名まで、カード登録不要)で試せます。https://tutorhubjp.com
まとめ
- フリートークが雑談で終わるのは、ゴールがなく、講師が話しすぎ、何も残らないから
- 話題は「近況・目標に近い話題・意見を言う話題」の3つを保険として用意する
- 50分は「ウォームアップ・メイン・訂正タイム・ふり返り」に分ける
- 会話中は訂正をメモに残し、あとでまとめて直す
- レッスン後は、新しい表現・直した間違い・次回の話題を生徒に送る
自由に話せる時間だからこそ、少しの準備とまとめで、生徒は「前より話せるようになった」と感じられるようになります。




