「日本語を話せるようになりたいです」
体験レッスンで目標を聞くと、多くの生徒がこう答えます。
もちろん大事な目標です。でも、このままレッスンを始めると、だんだん困ることが出てきます。今日は何を教えればいいのか。どこまでできたら「話せる」なのか。生徒も講師も、ゴールが見えないまま進むことになります。
この記事では、ふわっとした目標を、レッスンで追える具体的な目標に変える方法をまとめます。

目標がふわっとしたままだと、起きること
毎回、何を教えるか迷う
「話せるようになりたい」だけでは、旅行の会話を練習すればいいのか、敬語を練習すればいいのか決められません。結局、教科書の次のページに進むだけになりがちです。
生徒が上達を実感しにくい
ゴールがはっきりしないと、生徒は「前よりできるようになった」と感じにくくなります。中級あたりで「このまま続けて意味があるのかな」と不安になる生徒も少なくありません。上達の伝え方は 生徒の成長を説明する方法 にまとめています。
続ける理由が弱くなる
目標が具体的だと、「あと少しで、ここまで行ける」が見えます。ふわっとしていると、忙しくなったときに、レッスンを休む理由のほうが強くなってしまいます。
目標を具体的にする、4つの質問
ふわっとした目標は、次の4つを聞くと具体的になります。

- いつまでに?(旅行の日、試験の日、面接の時期)
- どんな場面で?(レストラン、家族との電話、会議)
- 誰と?(店員さん、祖父母、上司)
- 何ができたら成功?(注文できる、近況を5分話せる、自己PRを1分で言える)
たとえば、こう変わります。
| 最初の目標 | 4つの質問のあと |
|---|---|
| 日本語を話せるようになりたい | 3月の日本旅行で、レストランの注文と道の質問が自分でできる |
| 家族と話したい | 日本の祖母と、電話で近況を5分話せる |
| 日本の会社で働きたい | 来年の面接で、自己PRと志望動機を敬語で1分ずつ話せる |
ポイントは、「何ができたら成功か」を、生徒が自分で確かめられる形にすることです。「話せる」ではなく「注文できる」「5分話せる」なら、達成したかどうかが生徒にもわかります。
大きな目標を、1か月とレッスンに分ける
具体的な目標ができたら、それを小さく分けます。

大きな目標:3月の日本旅行で、レストランの注文と道の質問が自分でできる この1か月:数字・時間・「〜をください」「〜はどこですか」が使える 今日のレッスン:数字と値段の言い方。メニューを見て注文するロールプレイ
こうしておくと、レッスンの最初に「今日はこれをやります。旅行のこの場面で使えます」と言えます。生徒にとっても、今日の練習が目標のどこにつながっているかがわかります。
1か月の目標は、3〜4個までにしておくのがおすすめです。多すぎると、どれも中途半端になります。
目標は「書いて、見返す」
立てた目標は、書いて残しておきます。おすすめは、レッスン記録の一番上に置くことです。
- レッスン記録の最初に「大きな目標」と「この1か月の目標」を書く
- 毎回の記録で、「できたこと」が目標のどれに近づいたかを書く
- 1か月ごとに見返して、目標を更新する
レッスン記録の項目は レッスン記録テンプレート にまとめています。目標の欄を足すだけで、使い方が変わります。
目標を見直すタイミング
- 1か月たったとき:できたことを一緒に確認して、次の1か月の目標を決める
- 生徒の予定が変わったとき:旅行の日が決まった、転職が決まった、など
- 目標が簡単すぎる・難しすぎるとき:3回続けて全部できている、または全然進まない
見直すときは、講師が一人で決めずに、生徒と一緒に決めるのが大事です。自分で決めた目標のほうが、続けやすくなります。
そのまま使える、ヒアリングの質問
体験レッスンや月1回の見直しで、そのまま使える質問です。初級の生徒には英語で聞いても大丈夫です。
| 聞きたいこと | 日本語 | English |
|---|---|---|
| なぜ学ぶか | どうして日本語を勉強していますか? | Why are you learning Japanese? |
| いつまでに | いつまでに、どうなっていたいですか? | By when would you like to reach your goal? |
| どんな場面で | 日本語をどんな場面で使いたいですか? | In what situations do you want to use Japanese? |
| 誰と | 誰と日本語で話したいですか? | Who do you want to talk to in Japanese? |
| 成功の形 | 何ができたら「できた!」と思いますか? | What would make you feel "I did it"? |
| 今の困りごと | 今、一番困っていることは何ですか? | What is the hardest part for you right now? |
答えを聞いたら、最後に講師が1文にまとめて、生徒に確認します。
「つまり、3月の旅行までに、レストランで注文できて、道を聞けるようになりたい、ということですね?」
ここで生徒が「そうです!」と言えたら、目標はできあがりです。体験レッスン全体の流れは 体験レッスンの時間配分と流れ を参考にしてください。
TutorHubなら、目標が生徒ページと教材につながる

私が作っている TutorHub では、生徒ごとに「学習の目標」を登録できます。登録した目標は、いくつかの場所で使われます。
- 生徒の画面:目標と、総レッスン数・学んだ単語の数などの学習統計が並んで表示されます
- AIで作るもの:フィードバック、教材、次のテーマの提案、宿題をAIで作るとき、生徒の目標をふまえて内容を組み立てます
- 生徒用のページ:ログイン不要の生徒専用ページにも目標が表示されるので、生徒も自分の目標をいつでも見返せます
目標を書いておくだけで、レッスンの記録や教材が、自然とその目標に向かってつながっていきます。
TutorHubは無料プラン(生徒3名まで、カード登録不要)で試せます。まずは、今いちばん目標がふわっとしている生徒を1人登録して、4つの質問で目標を書き直してみてください。
まとめ
- 「日本語を話せるようになりたい」のままだと、教える内容に迷い、生徒も上達を実感しにくい
- 「いつまでに・どんな場面で・誰と・何ができたら」の4つで、目標は具体的になる
- 大きな目標を「この1か月」と「今日のレッスン」に分けると、毎回のレッスンが目標につながる
- 目標は書いて残し、1か月ごとに生徒と一緒に見直す
- ヒアリングの最後に、講師が1文にまとめて確認する
目標がはっきりすると、講師は迷わず教えられて、生徒は迷わず続けられます。




